昨日の夕方。まだ仕事中の私に子どもから電話が掛かってきた。
この時間に子どもから電話が掛かって来るのは普段から良くあること。「お腹が空いたのかな?」と思いながら携帯に出ると
「部屋に入るときはノックしてね。今、パパとママへの手紙を書いているから!」
ああ、そうか。明日は「2分の1成人式」だったな。
という訳で、今日は父親として参加してきた「2分の1成人式」についての感想をお届けします。
2分の1成人式とは
「2分の1成人式」とは、10歳の節目で子どもの成長をお祝いする行事です。もともとは1980年ころ、兵庫県の先生が考案されたそうで、文部科学省が定める学習指導要領には記載されていない行事ながら、いまでは多くの学校で行われているそうです。
学校や先生の裁量で行われるようですが、親への感謝を伝えたり、将来の夢を発表したり、合唱がおこなわれたりする「親にとっては感涙ものの行事」のようです。実際、2012年にベネッセコーポレーションが行った調査では保護者の9割近くが満足したという結果だったそうです。
また、学校によっては「親からの手紙」を子どもに渡すこともあるようで、その場合は親もそれなりの準備が必要になります。
ただ、その一方で「2分の1成人式」には
- (親の死別や別離、虐待など)恵まれない家庭環境の子どもには辛い行事!
- 親を喜ばすためのイベント。大人のエゴの押し付けでは?
- 家族のプライバシーが赤裸々に語られてしまう可能性も!?
などなど「美談」とばかりいえない側面もあることから批判もあるようです。
わが家でも親の不仲と別居で辛い思いをさせているので、少し心苦しいところもあります。
2分の1成人式に父親として参加してみた
うちの子どもの通う小学校はじつに100年以上の歴史のある全国でも最も歴史のある学校のひとつです。しかし、その歴史とは裏腹に昔からの伝統の行事らしきものも特になく、学校行事は比較的あっさり。運動会は午前中で終了。学芸会は2年に1回。(学芸会のない年は作品展)と参加する父母としては、気楽なような物足りないような感じだったりします。
そんな学校での「2分の1成人式」ですが、とりあえず「親から子どもへの手紙」という親力を試されるイベントはありませんでした。そのため、前日に、子どもから発表の順番を伝えられていたので「ああ、たぶん、順番に親への手紙を読むのだろうなあ」くらいの気軽な気持ちで参加できました。
しかし、実際は私の予想とは少し様子が違いました。
会場は教室。集まった親が見守る中、教室の壁側に机が集められ、父母の観覧席として子どもたちのイスが並べられます。その準備が終わり2人の生徒が開会のあいさつをした後、1番はじめの子どもが登場。そしておもむろに漢字ドリルを手に
「今から、このドリルの中の漢字を4つ選んでもらって書きます」
ん!??
そして、自らの芸を披露した後、お母さんへの感謝を述べ戻っていきます。その後も、手品を披露する子、けん玉を披露する子、サッカーボールでリフティングをする子、バットで素振りを披露する子、得意の暗算を披露する子、なわとびの二重飛びを披露する子、とそれぞれの特技を披露したあと、親への感謝のメッセージを伝えるという流れで式は進んで行きました。
そんな中、いよいようちに子の番。ゆっくりと教室の前に立つと
「ぼくは、お父さんとお母さんに感謝の手紙を伝えます」
そういって手に持った原稿用紙を読み上げました。内容は気恥ずかしいのでここでは控えますが、気づかいのできるうちの子らしく、お父さん(私)とお母さんへのメッセージがほぼ同じくらいの量でした。たぶん400詰め原稿用紙に半分ずつ、それぞれへのメッセージを書いたのでしょう。
うちの子は昔から作文がとても苦手で、いつも文章を書くのに苦労していたのですが、その原稿用紙1枚分のメッセージはしっかりと考えられていて、子どもの成長を感じさせられることも相まってけっこうグッとくるものがありました。
その後も、みんながそれぞれ特技を披露しては感謝の気持ちを伝えるという行事は続いていきました。
中には感極まって泣きながらなわとびの「はやぶさ飛び(あやとびの状態で二重飛び)」をする女の子や、手紙とプレゼントを渡す子、緊張してなかなかけん玉が成功しない子など、私が思っていたものとは少しちがいましたが、それぞれの個性が際立つ良い「2分の1成人式」だったと思います。
まとめ
10歳の節目で子どもの成長を祝う「2分の1成人式」。親としては子どもの成長を確かめられ、感謝の気持ちを伝えてもらうこともできる涙腺崩壊ものの行事ですが、子どもたちはどんな気持ちで、この式に参加しているのでしょうか。
そんな風に思いながら参加したのですが、ふざける子どももなくみんながとても真剣に特技を披露していて、こういう「2分の1成人式」もいいなあ、と思えるような式でした。
少し気になったのは、親へのメッセージのほとんどが「お母さん」だけに宛てられたものだったこと。お父さんへもメッセージを贈っていたのはうちの子も含めて3人だけでした。
参加した父母のほどんどが母親で、父親がほとんどいなかったためだと思いますが、現代っ子らしい判断で来てくれる人だけにメッセージを贈ったのか、それとも家庭でのお父さんの存在感が薄いのか、気になるところです。
帰宅後、子どもにみんなは特技を披露したのにどうして手紙にしたのか聞いてみました。すると「お父さんやお母さんと一緒に練習したりした特技を披露するんだけど、ゲームは持っていけないから」といわれました。
どうやら私はゲームしか教えていないようです。_| ̄|○
正直に育った子どもをうれしく思いながらも子育ての難しさを再認識した「2分の1成人式」でした。
コメント
それぞれの個性があって素晴らしい式ですね。読んでいて心が温かくなりました。
羊ノブナガさん、コメントありがとうございます。子どもたちが楽しそうだったので、一生に一回くらいこういう式もいいなあと思いました。