2018年1月26日に発覚した大手仮想通貨取引所コインチェックの約580億円の仮想通貨「NEM(ネム・XEM)」流出事件。
しかし、その騒動の裏でNEMとは別の多額の仮想通貨「Lisk(リスク・LSK)」が特定のアドレスへと移動されていたことがダイヤモンド・オンラインの記事で発覚しました。
はたしてこれは新たな不正流出なのでしょうか?それとも関係者が意図的に行ったのでしょうか?
今回は、約580億円のNEM流出の裏で行われた1363億円相当のLISK送金について考えてみます。
1,363億円相当のLISKはいつ送金されたのか?
ダイヤモンド・オンラインの記事にも書かれていますが、仮想通貨Liskの取引記録は一般公開されておりホームページで確認することができます。
Lisk – Blockchain Explorer(ブロックチェーンエクスプローラー)
公開されていた情報によると、今回Liskはコインチェックのメインウォレットから「14367838290034827614L(以後ウォレットX)」という特定のアドレスに送金されていました。そこでNEM不正流出の裏でLiskがどのように送金されていたのか時系列で整理してみます。
〈2018年 1月26日〉
12時16分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「3LSK」送金
12時33分:「ウォレットX」から「18085291109966065922L」へ「1.2LSK」送金
12時35分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「1LSK」送金
12時37分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「100 LSK」送金
12時46分:「ウォレットX」から「Coincheck.com」へ「30LSK」送金
12時47分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「10,000LSK」送金
12時51分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「20,000LSK」送金
12時52分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「10,000LSK」送金
12時54分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「4,180,000LSK」送金〈2018年 1月27日〉
14時39分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「3,149LSK」送金
〈2018年 2月1日〉
15時43分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「5LSK」送金
15時53分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へ「58,668.45791836LSK」送金
1月26日の12時16分から12時54分の間に「14,210,074LSK」(戻された30LSKを除く)
1月27日の14時39分に「3,149LSK」
2月1日の15時43分~15時53分の間に「58673.4579184LSK」
合計「14271896.4579184LSK」がコインチェックのメインウォレットから「ウォレットX」へ送金されているようです。
はダイヤモンド・オンラインの記事によると、その総額は日本円に換算して1,363億円に相当するそうです。
この送金を1月26日の時系列に入れると次のようになります。
〈2018年1月26日の流れ〉
11時25分:NEMの残高が異常に減っていることを検知
11時58分:NEMの入出送金を一時停止
12時7分:NEMの入金一時停止について告知
12時16分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へLSK送金開始
12時38分:NEMの売買一時停止について告知
12時52分:NEMの出金一時停止について告知
12時54分:「Coincheck.com」から「ウォレットX」へLSK送金終了
16時33分:日本円を含むすべての通貨の出金を一時停止について告知
17時23分:ビットコイン以外の仮想通貨の売買、出金を一時停止・告知
18時50分:クレジットカード、ペイジー、コンビニ入金の一時停止について告知
なんとNEMの売買や出金が停止されるまでの時間帯に集中して「14,210,074LSK」もの送金がされていたのです。
1,363億円相当のLiskは誰に送金されたのか?
では、この1,363億円相当のLisk(14271896.4579184LSK)は誰に送金されたのでしょう?
ダイヤモンド・オンラインの記事では
仮想通貨の取引が記録されているサイトで確認しても、このアドレスは26日以前には存在しないばかりか、ほぼコインチェックからの送金の受け取りのみにしか使われていない。(ダイヤモンド・オンラインの記事より)
とされています。
この「ウォレットX」の所有者の正体とは?
今回のNEM流出をいち早く知ったコインチェックの関係者や株主だったのでしょうか。それともこちらも不正流出だったのでしょうか?
もし関係者であればあきらかにインサイダー取引ですが、仮想通貨の場合は法整備が不十分のため、現状、法の網がかけられていないそうです。
インサイダー取引とは
上場会社または親会社・子会社の役職員や大株主などの会社関係者、および情報受領者(会社関係者から重要事実の伝達を受けた者)が、その会社の株価に重要な影響を与える「重要事実」を知って、その重要事実が公表される前に、特定有価証券等の売買を行うことをいい、金融商品取引法で規制されています。(カブドットコム証券ホームページより)
2018年1月31日にはbitFlyerがLISKの取扱い開始を発表
さらにLisk送金から5日後の2018年1月31日には、日本最大手の仮想通貨取引所bitFlyerが仮想通貨リスク(LISK)の取扱い開始を発表しました。
【リスク(LISK)取扱い開始のお知らせ】アルトコイン販売所にて「リスク(LISK)」の取扱いを開始いたしました。PC より bitFlyer にログイン後「アルトコイン販売所」から「リスク」のタブをクリックしてお取引いただけます。https://t.co/5O5iTtrJuJ pic.twitter.com/h6lNrGD4Zj— bitFlyer(ビットフライヤー) (@bitFlyer) 2018年1月31日
この発表を好感したためなのか、仮想通貨Liskは1月31日に2200円台から一時は3600円台まで約63.6%の高騰を見せました。
コインチェックからLiskを受け取った「ウォレットX」の所有者は、もしかしたらこのbitFlyerの情報も事前に掴んでいたのかも!?
そう考えると、ますます「事情を知っていた関係者」の関与を勘ぐられても仕方がないような気がします。
まとめ
仮想通貨NEM不正流出の裏で行われていた1,363億円相当の仮想通貨Liskの送金。
送金を行ったのは?
受け取った「ウォレットX」の持ち主はいったい誰なのか?
2018年2月2日に急遽、行われた金融庁の立ち入り検査でもこのLiskの件についての話は出てきていないと思います。
ダイヤモンド・オンラインの記事にも書かれているように、もしかしたら今回のコインチェックのNEM不正流出は「単なる仮想通貨の流出事件にとどまらない」のかもしれません。
・・・おや、こんな時間に誰だろう。
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