あなたは海外の銀行に口座を持っていますか?
ポートフォリオを組んで資産を分散している方や、海外投資を行っている方などは、海外銀行口座を活用されていると思います。
一方で、「わざわざ海外に銀行口座を作らなくても」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、海外銀行口座の開設について考えてみたいと思います。
私が海外銀行口座に興味を持ったきっかけ
私がはじめて海外銀行口座の開設に興味を持ったのは「預金封鎖と新円切替」の話を聞いた時でした。
第二次世界大戦後に行われた預金封鎖と新円切替
今から半世紀以上前の1946年(昭和21年)2月16日夕刻、急激なインフレ対策として、その政策は突如発表されました。
◇5円以上の紙幣は、3月2日までしか使えません。 新しい札と交換して使いなさい。交換できるのは1人100円までです。
◇その他の紙幣はすべて預金しなさい。預金からの引き出しは、1世帯300円+1人100円を限度とします。
この政策は、発表の翌日2月17日より実施され、政府はすべての銀行を封鎖し、預金引き出しの制限を掛ける(預金封鎖)とともに、新たに発行した新円以外の旧紙幣の使用を禁止(新円切替)しました。
これにより預金口座からは、世帯主が300円、家族が100円までしか現金を引き出せなくなりました。
また旧紙幣は3月2日を過ぎると使えなくなってしまう上、新円に交換できるのが1人100円までとされていただめ、市民は旧紙幣を使えるうちに使うか、預金するしかありませんでした。
「でも、手元の現金が制限されているだけで、銀行預金として残っているのならいいのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、この後、国は銀行預金に対して、預金額に応じて最大90%の「財産税」が掛けます。
結局、この政策により、国民の預貯金は国に召し上げられてしまったのです。
NHK特集「『預金封鎖』もうひとつのねらい」(2015年2月16日(月)放送)
日本では過去2回1944年と1946年に預金封鎖が行われてました。
戦中・戦後の混乱期の政策で「さすがに今の時代にはしないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、近年でも、2010年3月19日付の日本経済新聞朝刊に「鳩山由紀夫首相が昨年9月の政権発 足後、デノミネーション(通貨呼称単位の変更)を検討していた」と報じられたこともあります。
現代でも「新円切替」は絶対にあり得ない、ということではないのです。
海外銀行口座を開設する理由
では「新円切替」に備えて、海外銀行口座を持つと何が良いのでしょう?
海外銀行口座のメリットの1つは「外貨」を持つ事ができることだと思います。
もし「新円切替」が行われると、国際的に日本円の価値が大きく下がる事が予想されます。
その際に、もし、資産の一部を外貨で保有していれば、日本円の下落による資産減少リスクを分散することができます。
もし仮に「新円切替」が行われ日本円の価値が1/100になった場合、100万円の預金の価値は1/100になってしまいますが、その100万円を米ドルで保有していれば日本円下落の影響を受けなくて済みます。
仮に為替レートが1ドル100円の時に「新円切替」が行われ円の価値が1/100になってしまった場合、100万円を1万ドルの米ドルとして保有していれば、その分は資産価値の下落を免れることができるのです。
さらに、その時に1万ドルを1/100の価値になってしまった新円に両替すれば、100倍の1億円になるのです。
「そんな事はあり得ない」と思うかもしれません。
ですが、例えばロシアの新興財閥「オリガルヒ」は、1998年のロシア財政危機の際に、海外に資産を移していました。
その後、ロシアがデフォルトしロシア・ルーブルの価値が激減した時を見計らって相対的に価値が急上昇した海外の資産をロシアに戻し、その資金でロシアの国営企業(石油など)をタダ同然で手に入れ巨万の富を築きました。
とはいえ“「新円切替」に備える”ためは大げさにしても、「通貨分散」のために海外銀行口座を持つことは有益だと、その時は考えました。
世界的に有名な投資の格言に「卵はひとつの籠に盛るな」という言葉があります。資産を日本円だけで保有するよりは「通貨分散」することで、もしもの際にリスクを軽減することは重要だと思います。
思ったより長くなってしまったので、「海外銀行口座開設について真剣に考えてみた」の1回目はここまでに使用と思います。
次回は、
海外銀行口座開設について真剣に考えてみた(2)〈海外銀行口座のメリット〉
について考えてみようと思います。
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