「自己啓発の学習も労働時間 厚労省が指針」 に思うこと

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 「自己啓発の学習も労働時間 厚労省が指針」

2017年2月3日の日本経済新聞に「自己啓発の学習も労働時間 厚労省が指針」 という記事が掲載されていました。

厚生労働省は、長時間労働の温床とされるサービス残業をなくすため、会社側の「暗黙の指示」で社員が自己啓発をした時間も労働時間として扱うことなどを求めた指針を作成した。

指針の作成は電通社員の過労自殺を受けて同省が昨年末に公表した緊急の長時間労働対策の一環。

指針に法的拘束力はないが、同省は労働基準監督署の監督指導などを通じて企業に守るよう徹底する方針。

2015年12月に日本最大手の広告代理店・電通に勤務していた女性新入社員が過労自殺してしまったことを受けて、

国が長時間労働の是正に本格的に乗り出してきた

ということですが、それにしても今回はとても動きが速いような気がします。

長時間労働による過労死は今にはじまったことではない

長時間労働が原因による過労死の問題は今にはじまったことではなく、これまでも何度も取り沙汰されてきました。

それでも、これまではここまで大きな改革の流れになることはありませんでした。

電通といえば、業界2位に大きく差をつける広告業界最大手で、昔から仕事の苛烈さも知られています。

こんなたとえ話を聞いたことがあります。

やらなければならない仕事があるのに、クライアントとの夜の接待に誘われた時、どのように答えるかを、大手広告代理店営業マンの対応で、その社風を比較したお話です。

業界3位のADKは「今日は仕事があるので」と固辞する。

業界2位の博報堂は「接待にお付き合いするが、仕事を理由に早めに切り上げる」

電通は「二つ返事で接待に最後まで同行し、その後、帰社して仕事をする」

今回の件で、社員手帳から削除されることになった「鬼十則」や、過去に社員手帳に掲載されていた「責任三ヵ条」など、電通には、昔からブラックな体制を生み出す温床となるようなしきたりがありました。

過労死も、けして今回が初めてという訳ではありません。

また、電通といえば、日本の広告市場の過半を握り、マスコミや政財界にも絶大な影響力を持つといわれています。

その電通が、今回の件では、連日、テレビや新聞をにぎわし、さらには東京労働局と三田労働基準監督署から抜き打ちで立ち入り検査を受けるなど、とても大きな社会問題として取り上げられることになりました。

政府は働き方の転換に本格的に取り組み始めた

長時間違法労働の問題で、電通では社長が辞任することになりましたが、これについて2017年1月6日に塩崎恭久厚生労働相が

「社長1人の引責辞任ですむ話ではない」

と自主的な改善が重要だとの認識を示しました。

大臣、自ら”重大な問題である”ことを改めて言及したのです。

また、電通に続き、2017年1月11日には三菱電機が入社1年目社員に違法な長時間残業を強いたとして書類送検されました。

大企業が見せしめ的に次々とやり玉にあげられる事態を見ると、どうやら

国は長期労働時間の問題、ひいては”働き方の転換”に本格的に取り組んでいる

のではないか、と考えられます。

2017年より本格解禁される副業なども含め、従来の日本的な働き方では、これから先の成長が見込めないという強い姿勢で臨んでいると思いますがいかがでしょう。

冒頭の日経新聞の記事の自己啓発のための学習は、これまでであれば、自己啓発も業務の一環として”当然”として強いられてきたと思います。

記事には他にも

制服や作業着に着替える時間、業務終了後の清掃、待機時間、研修や教育訓練の受講なども、労働時間に含めるとしている。

と労働時間に含める項目について具体的な内容があげれていました。

工場や建設現場などでは、8時からの”勤務時間の始まる前”に着替えて現場に集合し、朝礼や体操を行う、ということが当たり前として常態化している所もあると思います。

それらについても具体的に「労働時間に当たる」との指針が示されたことで、今後、大手企業を中心に

長時間労働対策への取り組みが加速する=働き方が変わる

時代が着実にやってくると思います。

大企業での取り組みはやがて中小企業にも波及してきます。

これは良いことでもありますが、長時間労働に頼り切ってきた中小企業、そして長時間労働にともなう残業代を当てにしてきた労働者にとっては、すぐにどうにかできる問題ではなく、場合によっては死活問題になることもあると思います。

そうなった時に慌てることがないよう、そうなる可能性を常に念頭に置きながら対策を考えていくことが、このような時代の転換点では特に大切。

私も、それに備えて、

残業から副業へ

収入の軸を移していきたいと思います。

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