2017年12月10日(米国東部時間10日午後6時)、米CBOEグローバル・マーケッツ(CBOE.O)が運営する世界最大の先物取引所「シカゴ・オプション取引所(CBEO)」で仮想通貨ビットコインの先物取引が開始しました。
また、北米最大の金融と商品のデリバティブ取引所「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)も仮想通貨ビットコイン先物を18日に上場すると発表しています。
これにより、小麦や大豆の穀物や金などと同じようにビットコインも先物取引が可能になったのです。
ますます注目が集まる(そして価格も高騰する)ビットコイン市場ですが、今後はどうなっていくのでしょう?
今日は、現在のビットコインを取り巻く状況について考えてみます。
ビットコイン先物取引スタートでどうなる?
では、ビットコインの先物取引が開始されるとどのようなことが起こるのでしょう?
それを考える前に、まず「先物取引」とはどのようなものか確認してみたいと思います。
日本取引所グループ のホームページによると
先物取引とは、
将来の予め定められた期日に
特定の商品(原資産)を
現時点で取り決めた価格で売買する事を約束する取引です。
とのことのようです。
この「先物取引」には次のような特長があるようです。
「取引できる期間が決まっている」
先物取引には取引の期日があり、期間内であればいつでも売買できるが、期限になると自動的に決済されてしまう。(そのままホールドできない)
例えば、来年3月まで期日でビットコイン先物を買い付けた場合、約束の期日になったら、たとえさらに値上がりしそうだとしても「その時点の価格で」すべて売らなければならないのです。
「売りからスタートすることもできる」
先物取引は、相場が上昇すると予想したときには「買い」から、相場が下落すると予想したときには「売り」から取引を始めることができる。
「売り」からスタートし、予想通り相場が下落すれば「買戻す」ことで利益を得る。予想に反して相場が変動した場合には損失が発生する。
例えば、「これから来年3月までにビットコインが値下がりする」と思っている場合、ビットコイン先物なら売りポジションで持つことができます。
その後、期日までに予想通り値下がりすれば利益が、逆に値上がりしてしまったら損益が発生します。
「差金の受け渡しで決済する」
先物取引では「買い付け(または売り付け)を約束した時点の先物価格」と「決済時点での先物価格」の差額(売買により生じた損益)のみの受け渡しを行う。
(売買契約の時点では代金の受け渡しが発生しない)
通常の取引といろいろちがう先物取引ですが、その先物取引開始がビットコイン市場に与える一番の影響は「機関投資家の参入」だと思います。
ビットコイン市場は個人取引から機関投資家の取引が主流に
2017年12月12日の日本経済新聞に「ビットコイン、日本の取引シェア4割 」という記事が掲載されていました。
代わって主役に躍り出たのが日本だ。10月のシェアは円が42%と米ドル(36%)を抜いて世界1位になった。11月も日本は41%と首位を維持し、円建ての売買が世界の5割を超える日もある。
記事によると、2016年まで世界の9割超を占めていた中国元が中国当局の規制によりほぼゼロまで低下した代わりに、日本の個人マネーが急速にシェアを伸ばしたとのこと。
日本の取引参加者は100万人を超えたともいわれ、それにともないビットコイン価格も急速に高騰。2017年12月には年初の約17倍まで上がったそうです。
このビットコイン市場に「機関投資家」が参入し、個人とは比べ物にならない予算で取引を開始すれば、ビットコインはさらにボラティリティー(価格変動)が大きくなると思います。
2017年12月8日には「ビットコイン、一時20%超下落 230万円台の高値から」(共同通信)というニュースもありました。
インターネット上で取引される仮想通貨の代表格「ビットコイン」の価格が8日午後、この日の高値から一時20%以上急落するなど荒い値動きとなった。
取引所を運営する「ビットフライヤー」によると、ビットコインは同日朝、国内の主要取引所で初めて1ビットコイン=200万円を突破。一時230万円台を付けたが、午後に入り利益確定の売りが広がり、170万円台に下がった。
その後は、買い戻しも入り、200万円前後での取引が続いた。
この前日の12月7日に「ビットコインの価格が一日で20%以上の高騰を記録。価格は165万円を超えた。」という出来事があったばかりです。
先物取引開始前の時点もこのような状態です。
この価格の乱高下は「機関投資家」の参入によりさらに激しくなるような気がします。
価格の乱高下・取引量の増加による弊害も!?
こうしたビットコイン価格の乱高下は、ビットコインを利用した決済にも影響を及ぼしています。
世界の最新金融ニュースを配信するブルームバーグは2017年12月7日に「ビットコインでの支払い、もはや受け入れ不能-ゲーム配信steam」という記事を配信しました。
米バルブ傘下のSteamは、手数料急上昇が買い手にとってのコストを高めたことに加え、購入時の大幅な価格変動が「大幅な値段の差」につながり得るため、ビットコインでの支払いを容認できなくなったと説明した。手数料は先週、取引1件当たり20ドル(約2250円)前後に達し、ビットコインの支払いが可能になった当初の約20セントから急増したという。
アメリカのValve社が運営するオンラインゲーム配信会社「steam」がビットコインの決済を導入したのは2016年4月。当時のビットコインの決済手数料$0.20(約23円)はクレジットカードの決済などと比べても安価だったと思います。
それが現在では、1決済あたり20ドル(約2250円)も掛かってしまうとしたら、ビットコインを決済に利用するのは難しいでしょう。
(因みに「steam」は、とても安価にPCゲームを購入できる販売プラットホームで、安価なものはそれこそ100円以下で購入することも可能です。)
さらに、ビットコインの取引量が急増したことで、数十万件にも大幅なトランザクションの詰まり(決済の遅延)が起こっているそうです。
「もし缶コーヒー1本買うのに手数料が2,000円も掛かってしまい、しかもなかなか会計が終わらないとしたら?」
きっと、あなたはビットコインではなく別の手段で決済すると思います。
価格の乱高下・取引量の増加により、ビットコイン本来のメリットでもある「決済」の優位性が失われてしまっているような気がします。
とはいえ、それでも現在、ビットコインが急騰を続けるのは「ビットコインで儲けたい!」という投機目的で購入を希望する人が増えているからなのでしょう。
まとめ
経済の基本で、モノの価格は需要と供給で決まります。
そういう意味では「先物上場開始」や「ハードフォーク祭り」などで「ビットコインを買いたい」という人が増えている今、ビットコインの価格が急騰しているのは当然だと思います。
一方、その購入目的は「利用」よりは「投機」が大半なのではないでしょうか。
人によっては「冬のボーナスを丸ごと突っ込んだ」という話もあるようです。
しかし、ビットコインはあくまで「投資」ではなく「投機」。
もし購入するのであれば「ギャンブルに近い」ということを理解した上で、無理のない範囲で購入するのが良さそうです。
そうしないと、機関投資家や仮想通貨ヘッジファンドの巨大マネーの前に、個人のお金などあっという間に吹き飛んでしまうかもしれません。
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