以前、「自己肯定感」と「承認欲求」について書きました。
あれから半年以上が経ち、今では「自己肯定感」に満ちあふれているかといえば、全然そんなことのない私です。
そもそも「自己肯定感」を高めるには、まず土台となる「自己受容」が必要なようです。
そこで、今回は「自己受容」と「自己肯定感」について改めて自分なりに整理していこうと思います。
自己受容ってどういうことだろう
「自己受容」とは読んで字のごとく「自分を受け入れる」ことです。でも「自分を受け入れる」とはどういうことでしょう?
Wikipediaのアクセプタンス(Acceptance:受容、受諾、容認という意味)の解説では
アクセプタンス
人間心理学におけるアクセプタンス(Acceptance)、受容(じゅよう)とは、その人が置かれた現実の状況について、変化や抵抗しようとせずに、その過程や状況を理解しようとする姿である。その多くはネガティブで不快な状況である。
とあります。
つまり「自己受容」とは「自分の嫌いな所」「認めたくないような感情」「境遇」などの「自分のありよう」を、すべて自分のものとして受け入れることです。
この「自分にとってネガティブなこと」を、自分のこととして「受け入れる」ことこそが、あなたの「自己受容」を難しくしている要因ではないかと思います。
ありのままの自分を受け入れる難しさ
誰でも、自分の欠点や失敗、不幸な境遇は受け入れがたいものです。(特に、辛い境遇は、簡単には受け入れがたいものだと思います。)
ですから、自分の欠点や失敗を隠そうとしたり、人のせいにしたりしてしまいがち。
また、不幸な境遇を他人と比べたり、親や上司、環境のせいにしてしまいがちです。(実際、生まれながらの境遇や環境などは、あなた自身ではどうしようもないものです。)
それでも、あなたを取り巻く「自分の嫌いな所」「認めたくないような感情」「境遇」などを、すべてありのままの自分として「受け入れる」こと。
それが「自己受容」なのです。
とはいえ、自分のネガティブな部分を「受け入れる」のは、容易なことではないと思います。
できれば、自分のポジティブな面だけを見て肯定(自己肯定)したり、ネガティブな面を断固として否定(自己否定)してしまいたい所です。
「自己受容」と「自己肯定」「自己否定」そして「自己肯定感」
「自己受容」と「自己肯定」「自己否定」「自己肯定感」には、どのような違いがあるのか考えてみました。
「自己受容」:
自分の正の面も、負の面も、すべてをありのままの自分として「受け入れる」こと。そこには肯定も否定もありません。変化や抵抗しようとせずに、その過程や状況を理解しようとすること。
「自己肯定」:
自分の正の面だけを見て自分を肯定すること。自分に負の面があっても、正の面ばかりに目を向けて、自分の意義(=価値や重要性)を認めること。
「自己否定」:
自分の負の面に恥や罪悪感を感じ、そんな自分を否定すること。
もしくは、負の面がある自分を否定し、失敗や欠点を隠そうとすること。そんな失敗や欠点を隠そうとする自分自身さえも嫌いで、悪い所を人に見せまいとすること。
「自己肯定感」:
ありのままの自分を受け入れた上で、「ありのままの自分で良い」「自分はかけがえのない存在だ」と「無条件」に自分を肯定すること。
「自己肯定感」は「自己受容」した上で、ありのままの自分を「それでいいんだ」と許すことで育まれていく感情。つまり「自己肯定感」を高めるには、まず「自己受容」することが大切なのだと思います。
もちろん自分の正の面を見て「自己肯定」すれば、一時的に「自己肯定感」が高まることがあるかもしれません。
でも、自分の正の面を「条件」に自分を肯定しているのだとしたら、もし、その正の面が失われてしまったら、あなたの価値は失われてしまうのでしょうか?
あなたを支える、正の面(それは地位、名誉、家族、財産、等)が大きくなればなるほど、喪失の「恐怖」もどんどん大きくなっていくことでしょう。
かといって、自分の負の面ばかりを見て、自分や他人を責め続けても、自分を傷つけるばかり。
負の面がある人は、すべて価値がないのでしょうか?
そもそも、この世に、負の面のない人などいるのでしょうか?
自分に厳しく鞭を打って、自分を向上させることはとても大切なことです。でも、どんだけ鞭を打っても、自分を傷つけるだけでどうしようもないことだって、世の中にはきっとある。
では、そんなあなたは、価値の無い人間なのだろうか?
いいえ、そんなことはありません。
あなたは、もっとあなた自身を、自分の負の面を許して、あなたのことを大切に思ってもいいのです。
もちろん「自己肯定」や「自己否定」がすべてダメということはありません。
「自己肯定」は、自分をポジティブに考え、思い切った行動へとつなげる前向きなエネルギーを、「自己否定」は、自分のネガティブな面を見据え、それを乗り越え克服しようとするエネルギーを生み出します。
それは、人の成長には欠かせないものです。
けれど、間違った「自己肯定」は、根拠の無い自信や無理な行動に、間違った「自己否定」は、「私にはどうせ無理」「私なんて」というあきらめにつながり、人間としての成長を阻害してしまう可能性も。
大切なのはバランス感覚。
あなたには、正の面も負の面もあることを受け入れ、そのバランスを保つことが「自己肯定感」を高めるための土台となるのです。
「自己受容」 ありのままの自分を受け入れるには
では、ありのままの自分を受け入れるにはどうすればよいのでしょう。
私は、なんとなくこの「受け入れる」という言葉が「自己受容」を難しくしているのかな、と思います。
ありのままのあなたを受け入れることに、あなたは抵抗を感じてしまうかもしれない。
「このままじゃダメだ」と、自分を蔑み、罵り、受け入れられないかもしれない。
「もっとがんばらなきゃ」「もっと認められなきゃ」・・・
そんな風に自分を追いつめ、それでも自分を変えられなくて、自分はダメな人間だと、さらに自分を傷つけ・・・
私も、ずっとそうでした。(今でも少し、そうかもしれません)
けれど、そんなあなたを、あなたは、すべて許してあげてもいいのだと思います。
あなたが、今までとてもがんばってきたこと、今ももがき苦しんでいることを、本当に理解してあげられるのも、それを許してあげられるのも、あなただけなのだと思います。
あなたが、あなたのすべてを許してあげなければ、あなたはきっと、さらに心を閉ざしてしまう。
だから、あなたは、あなたのことを許して、あなたをもっと大切にし、やさしい気持ちで包み込んであげても良いのだと思います。
それをできるのは、あなただけなのだから。
「自己受容」とは、「許し」なのだと思います。
あなたは、ただ、ありのままのあなた自身を許してあげればいいのです。
なんだか、少し「自己受容」が簡単に思えてきませんか。
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