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ほめ言葉に「ありがとう」と返すのは苦手。交流分析の「ストローク」から考える

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あなたは、お店で店員さんに「ありがとう」と言うのは何でもないのに、ほめられて「ありがとう」と返すのは苦手、ということはありませんか。

こうした「ありがとう」の違いを考える手がかりになる言葉が、交流分析という心理学の理論にあります。言葉や態度、触れ合いなどで相手に向けるメッセージを指す、「ストローク」です。ほめ言葉だけを指す言葉ではありません。

私自身は、一般にプラスのストロークと呼ばれるもの(肯定的ストローク)は苦手です。受け取るのも与えるのも、両方苦手です。最も苦手なのは、ほめ言葉と感謝です。

望まないものを断る話にも触れます。私自身の今の気持ちは、後半に書きます。この記事は、受け取れるようになろう、とも、今のままでいい、とも勧めません。

今回は、ほめ言葉や感謝が苦手なときの、交流分析の「ストローク」について考えてみます。

私が最も苦手なのは、ほめ言葉と感謝。ただし、すべての感謝ではありません

ほめ言葉へのありがとうと、助けられたことへのありがとう

ほめ言葉や感謝は、素直に受け取れず謙遜してしまいます。ほめ言葉にありがとうと返すのは苦手です。

2017年に書いた喜び上手 喜び下手という記事に、お礼を言われたときでさえ、素直に喜ぶ前に「戸惑ってしまう自分」がいる、と書きました。今もそうだと思います。

その記事では「喜び下手」を自己肯定感の低さと結びつけていますが、ここでは、苦手な理由には踏み込みません。

一方、こちらから伝える感謝の話です。自分が助けられたことや行動に対しての感謝、ありがとうを返すのは抵抗ありません。お店などで店員さんに感謝を伝えるのも、抵抗は感じません。ただし、こちらからの支払いなしに、恩を受けるのは苦手だと思います。

行動への感謝と、行動を起こした人への感謝

先ほども書いたとおり、私自身は行動への感謝に抵抗はありません。ですが、行動を起こした人への感謝は、難しいです。大げさになったり、嘘っぽくなったりしてしまう(と自分で感じてしまう)。無理して自分を作り、演じている気分になってしまう。

「〇〇してくれて助かった」は素直な感謝になる。「〇〇さんのおかげ」は、同じ自分の感謝の言葉でも、作り物のような、嘘っぽい気がしてしまう。

笑顔と、目を合わせること

笑顔が苦手です。思い返すと、私は小さな頃から笑顔が苦手だったように思えます。

笑顔に笑顔を自然に返すことは難しい。自分の表情は、作られたものと感じてしまう。

目を合わせるのが苦手です。

ストロークは、ほめ言葉だけを指す言葉ではない

ここからは、私の話から離れて、ストロークという言葉の定義を見ていきます。

もとは身体の触れ合いを指す語で、それが広げられた

ストロークは、精神科医エリック・バーン(Eric Berne)が提唱した交流分析(Transactional Analysis)の用語です。交流分析については、人生脚本の記事にも書きました。

バーンの著書『Games People Play』によると、stroking は、もとは身体の触れ合いを指す語です。バーンはそれを広げて、相手の存在を認める行為全般を指す語としました。そして、ストロークの交換が交流である、と書いています。

こころの耳というサイトは、ストロークを、「あなたという存在を認めているよ」という存在認知のメッセージ、と説明しています。日本交流分析学会のページには、「人間が生きるために必要な心の栄養」とあります。「心の栄養」といっても、この記事では、「ストロークが足りない人」を判定するための言葉としては使いません。

あいさつも、ほほ笑みも、舌打ちも、ストロークに入る

こころの耳は、心地よいものだけでなく、不快なものも例に挙げています。その説明をもとにすると、心が快になるものがプラスのストローク(肯定的ストローク)、心が不快になるものがマイナスのストローク(否定的ストローク)です。「プラス」「マイナス」は、日本交流分析学会のページにもある呼び方です。

こころの耳がプラスとマイナスに分けて挙げている例の一部は、次のとおりです。

  • プラス:ほめられる、優しくされる、笑顔であいさつされる、「おはよう」
  • マイナス:にらまれる、舌打ちされる

ほめ言葉は、ストロークの一部です。

ここに並ぶものすべてが苦手、という話ではありません。私が苦手と言っているのは、最初の節に書いたものです。

行動に向けるものと、存在に向けるもの

こころの耳は、相手の行為や行動に対するストロークを「条件付きストローク」と呼び、相手の存在に対して送られるものを「無条件」のストロークと呼んでいます。

この記事では、「条件付き」と「無条件」に上下はつけません。上で書いた「行動」と「人」の区別は私の感じ方の言葉で、この分け方と同じものかどうかは決めません。

受け取りにくさ、与えにくさを、5つのルールで説明する理論がある

ストローク経済の5つのルール

クロード・スタイナー(Claude Steiner)の「ストローク経済」という理論があります。スタイナーのページは、ストローク経済が、やりとりを決めるルールによって愛情の希少さを作る、と説明しています。この記事では、これから並べるルールを、勧めるものではなく、やりとりを制限するものとして挙げます。ページは英語で、日本語は訳したものです。ルールは次の5つです。

  1. 与えたいストロークを、与えてはいけない
  2. ほしいストロークを、求めてはいけない
  3. 受け取りたいストロークを、受け取ってはいけない
  4. 望まないストロークを、断ってはいけない
  5. 自分にストロークを与えてはいけない

ルール1は与えたいもの、ルール3は受け取りたいものについての話です。

スタイナーのページは、子どもの頃に身につく考えの一つとして、これらのルールを挙げています。同じページは、破ると、罪悪感や恥、自分には価値がないという感覚が出る、とも説明しています。誰かのせいにする話ではありません。

研究で確かめられた話として紹介するものではありません

ここまでの話は理論としての説明で、ストロークの効果が研究で確かめられた話として紹介するものではありません。ここから先も、一つの見方として読んでください。

5つのルールのうち、私に近いのは3と2。以前は4もあったかもしれません

一番近いのは3と2だと思います。受け取りたいものを受け取らない、ほしいものを求めない、です。

私自身は、以前は他人から嫌われないために、4(望まないものを断らない)もあったかもしれません。今は断れるようになってきていますが、マイナスのストロークをすべて受け流せるほどではありません。

望まないストロークは、断ってよいと思います

断ってはいけない、というルールもある

スタイナーのページでは、ルール4を破る練習の一つとして、望まないものは断ることが挙げられています。熟練したトレーナーのいるグループでの方法として書かれているものなので、ここで手順は紹介しません。スタイナーは、少しの練習が魔法のように働く、とは言っていません。

望まないものは、受け取らないことも選べる、と私は考えます。

望まないものかどうかは、形だけでは決まらない

こころの耳の説明で、プラスとマイナスを分けているのは、心が快になるか、不快になるかです。そのため、言葉や行為の形だけでは決まらないと考えます。快でないものを「望まないもの」と重ねるのは、この記事の読み方です。

過度な接触や、距離感が近いことは苦手です。

この読み方で見れば、過度な接触や近い距離感は、私には「望まないストローク」の側に入るのかもしれません。

次は、私の話ではなく、架空の例です。親戚の集まりで同じことを何度もほめられて落ち着かず、「その話は、このくらいにしましょう」と話題を変える。ほめ言葉でも、望まないストロークになることがある、という例です。

断れない相手や場面があっても、責めなくていい

断ることが怖い相手や場面も、あると思います。断れなかったことを失敗と呼んで、自分を責めなくていいと思います。

つらさが長く続くとき

ここは、読んでくださっている方に向けて書きます。

人との関わりのつらさや落ち込みが長く続いて、日々の生活が苦しいときは、一人で整理しようとしなくて大丈夫です。相談先は、身近な人、かかりつけ医などの医療機関、心理の専門職、電話や窓口で相談できる支援機関です。

望まない言葉や扱いが続いて、断ることが難しい、怖いときも同じです。

身の危険を感じるときは、断るより先に、その場を離れることや相談を優先してください。

この苦手を、今どう思っているか

ここからは、また私の話です。この苦手は、直した方が良いとは思います。ただ、自分が変わることについてのあきらめの気持ちも大きいです。このままではいけないという切迫した気持ちもありません。

このあきらめは、あきらめと受容について書いた記事の感覚に近いです。

その記事では、相手への働きかけをやめることを「あきらめ」と呼びました。私の読みでは、それは、働きかける努力をする自分をあきらめる、ということです。同じように、相手ではなく自分についてのあきらめだと、自分では感じます。

これは私の今の気持ちで、私と同じように考えてください、という話ではありません。

まとめ

ここまでの話は、次の3つです。

  • こころの耳などの説明では、ストロークは、ほめ言葉だけではなく、あいさつや態度、にらまれることや舌打ちも含む
  • 私が最も苦手なのはほめ言葉と感謝で、行動への感謝には抵抗がない。行動を起こした人への感謝は難しい。5つのルールでは、3(受け取りたいものを受け取らない)と2(ほしいものを求めない)が近いと思う
  • スタイナーのページは、望まないものを断ることもルールを破る練習の一つに挙げている。ただし理論としての説明で、研究で確かめられた話として紹介するものではない

変わろうとすることも、しないことも、この記事は勧めません。どうするかは、その人が決めることです。

ほめ言葉や感謝が苦手なときの、交流分析の「ストローク」についての考察は以上です。

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